『日本が中国の属国にさせられる日』

 支那は好きになれない。はっきり言えば嫌いである。だが、感情的なヘイト・スピーチも嫌いなので常に冷徹な分析力を保つよう努めている……つもりだ。それでこの本を手に取った。昨今の支那の目に余る言動のせいで、図らずも感情に流されてしまいそうな己を冷静に見つめ直したい思いもあった。本屋で少し立ち読みをして慎重に購入した……はずだった。が、またしても失敗した。
 この本の著者、副島隆彦氏は口が達者だ。
「ロスケ、チャンコロ問題に本気で立ち向かう」
 などという表題で支那嫌いの人たちの関心を買い、
「中曽根やナベツネを指導したキッシンジャーは中国の手先だった」
 などと支那嫌いの仲間であるかのように装い、
 支那嫌いの人たちが、希望的観測で支那の経済崩壊を予測していることを承知の上で、
「10年前から中国経済が崩壊すると言っていた人たちの予言は当たっていない」
 と挑発した上で、
「自分は右でも左でもなく、中道などとカマトトぶったことは言わない」
 などと、一人冷徹な目で分析している風を装い、
「自分の意見が意に沿わないからと、この本を投げ捨てますか?」
 などと、自分の意見を押しこんでくるのである。
 まるで慣れた詐欺師の手口だ。
 ネットで調べてみたら、株の悪徳ブローカーみたいな人物だった。他の著作に対するアマゾンのカスタマーレビューを読むと、この人の言を信じて損をしたとか、そんな恨みつらみがたくさん載っていた。消費税含めて1620円。まぁ、株で騙された人と比べれば被害が少なくて済んだと自分を納得させよう。

 結局、途中からは飛ばし読みをしてしまったので、正確な論評は出来ないが(する気もないが)、明らかにおかしいのは、副島氏の言う『日本が中国の属国にさせられる』のは、支那の経済成長が今後も順調に続くという前提の上に立っていると言うことだ。減速したとはいえ今年度もGDPが7%の成長をするという支那の発表を、まるっぽ鵜呑みにしているところが痛すぎる。
 王コネイとかいう共産党幹部が言った、
「中国は余剰生産を減らす必要がない。過剰生産、過剰在庫の問題は解決できる」
 などという出鱈目な話を引用し、どうやらこの与太を信じているようなのだ。実に痛い。
 わざと難しい経済用語を羅列して難解な理論や知識を開陳されている項が少なからずあるが、この部分をもってして、もはや副島氏に経済を語る資格はないと断じたい。副島隆彦とは、中国共産党万々歳の共産党員ではあるまいかと思ってしまう。少なくとも走狗だ。もしかしたら朝日新聞の現役社員かもしれない。
 東京裁判を金科玉条としているんだろうなぁ、この手の人は。一応最後まで拾い読みした限りでは、副島氏によると『支那事変』は日本軍の仕業で、『南京大虐殺』も史実らしい。『大躍進政策』や『文化大革命』が大失敗に終わったことは認識しているようだが、当初は毛沢東が理想に燃えて始めた革命だったなどと言ってしまっている体たらくだ。日本が一切絡んでいないような支那の失策はロシアが悪いことになっているし、何がなんでも支那様万歳なのだ。

『素晴らしい中国人が共産主義と日本軍の手によって誤った道を進んでしまった。しかし、毛沢東の時代には少なからずの執政もあったが、今や習近平という素晴らしい指導者を得て、日本はおろかアメリカも追い落とし、再び世界に中華の花を開かせるだろう』

 というのが、この本の趣旨だ……ろうと思う。中国や北朝鮮の共産主義に未だに幻想を見ている不思議な本でした。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

辰之介

Author:辰之介
映画ファン歴40年。
映画やドラマを観る日本人の審美眼を真剣に憂える。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる