バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

☆  (まぁ、派手だから楽しめるかな)

 一言でいえばやり過ぎである。
 『スーパーマン』シリーズのリブートのリブートとなる前作『マン・オブ・スティール』でも強く感じたことだが、スーパーマンのスーパー・パワーがスーパーすぎて、NY級の1千万人都市があまりにもあっさりと更地になってしまうのだ。その前作に続き、本作も同様の「やっちまったなぁ!」感が強い。CGを使った特撮が発達しすぎてしまい、どんなスペクタクルも映像化できるようになったのはいいが、安易に町を破壊しすぎである。描写された画面はリアルだが、まったく実感が伴わない。技術の進歩は素晴らしいが、技術的に出来ることとやって良いことはイコールじゃないと言うことですね、アインシュタインさん。
 そういえば、近々、リメークされた『ベン・ハー』が公開される。既に予告編をネットで見た。奴隷船のシーンや戦車競走のシーンがきっちりと描かれていた。しかも、かつての撮影技術では出来なかったアングルやカメラ・ワークで。これは、是なのだろうか、非なのだろうか。もう分からなくなってきた。

 本作に戻る。
 滑り出しは良かった。前作のクライマックスを、街の中を車で疾走するブルース・ウェイン(ベン・アフレック)の視線で描き直していたのだ。都市が破壊されるスペクタクル・シーンが、(もちろん意図的であろうが)911テロを彷彿とさせるリアルさで迫ってきた。カメラの目線を人が立っている目の高さに下した効果だ。
 ところが、このオープニング・シーンからして、徐々におかしな方向にねじ曲がっていくのである。スーパーマンの戦いで破壊されていく建物に残された人々や、瓦礫が降ってくる街なかに取り残された少女などが描かれていくのである。ある意味、リアルを求めた描写かもしれないが、それはこの手のヒーロー映画やドラマで触れてはいけない描写である。そこに踏み込んでしまうと逃げ場がない。唯一の解決策はコメディにすることである。事実、ピクサー健在なりし頃の名作『ミスター・インクレディブル』はその成功例だ。そういえば、第1作の『アベンジャーズ』公開後に、映画がリアルだった場合の被害総額は○兆ドルになるとかいう試算が発表されたが、もちろん、これは保険会社のジョークである。近々、そんな保険会社を舞台にしたアメコミのスピンオフ・ドラマが製作されると言う記事を読んだが、やはりそれもコメディーである。
 ところが、この映画は、この問題に真っ向正面からリアルに取り組んでしまった。戦いに巻き込まれて死んでしまった人の中に、ブルース・ウェインの会社の従業員や幹部もいたりして、復讐心に取り憑かれたバットマンとスーパーマンの戦いが、笑いひとつない陰鬱な雰囲気の中で描かれることになった。更に、(これも意図的でだろうが)IS的な自爆テロまで盛り込み、いよいよ暗い方向に落ち込んでいくばかりの展開である。ほとほと逃げ道がないなぁ……。スーパーマンに対抗するために着込んだバットマンのモビルスーツは、アイアンマンのマーク1そっくりだったし。なんか、全体的にチグハグ。

 この映画の構図を近現代の世界情勢に譬えてみることはできないかと思った。スーパーマンは驚異の軍事力を持つにいたった支那&北朝鮮連合で、これにクリプトナイトという核兵器で対抗するアメリカのバットマン……。うぅむ、しっくりこないなぁ。
 ただ、二人をたきつけて漁夫の利を得ようとするコミンテルン的な立ち位置にいたレックス・ルーサー役のジェシー・アイゼンバーグは好演だった。
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辰之介

Author:辰之介
映画ファン歴40年。
映画やドラマを観る日本人の審美眼を真剣に憂える。

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