ズートピア

 肉食獣も草食獣も仲良く一緒に暮らす動物たちのユートピア社会『ズートピア』を舞台に、ウサギ初の警官になったホップスと詐欺師のキツネがバディを組み、街に潜む失踪事件の解決に活躍する物語。
 全てが平等と理想を謳いながら、人口の1割でしかない肉食獣が支配層で、大多数の9割を占める草食獣は下層の一般大衆という格差構造になっている。ただし、草食獣の中でも、ゾウやサイ、バッファローのような身体の大きな草食獣は支配層の仲間になっている。また、肉食獣の中でもキツネだけは生来のウソつきだからと差別を受けている……という構造が、人間の現実社会を写していて奥が深いと評判の作品だ。
 黒とか白とか、アジア系とかヒスパニック系で読み取るのはおそらく無理だろう。やはり、経済的な格差社会の縮図になっていると見るのが正しそうだ。さしずめ、キツネがユダヤ人と読み取れば、おおよその解釈に辻褄が合うと思う。貧困層のウサギでも、夢は叶うという、ディズニーがしつこくしつこむ持ち上げるテーマの作品である。
 ところで、このズートピアには、サルなどの霊長類が住んでいない。サルは雑食で分類できなかったから……というよりも、人間社会への比喩がより露骨になってしまうから描けなかったのだろう。そもそも、ズートピアにサルを入れると、ディズニー映画がフォックス(キツネ)映画の『猿の惑星』に変わってしまうしね。老婆心ながら付け加えると、太平洋戦争(正しくは大東亜戦争)時に日本軍の捕虜になったフランス人ピエール・ブールが、日本人をサルに見立てて書いたSF小説を原作にしたのがが『猿の惑星』という意味で言っている。

 まぁ、色々と書いたが、難しいことを考えなければ、黒幕探しの犯罪モノとしてなかなか楽しめる作品に仕上がっている。吹き替え版の上映しかなかったのでネットのオリジナル予告編でオリジナル・キャストの声を確認したが、ビト・コルリオーネのパロディーは子どもに理解できる範囲ではなかっただろう。
 あ、あと上戸彩が主人公の声を当てていた。またパブリシティ稼ぎの話題作りキャスティングかと心配したが、悪くなかった。『アベンジャーズ』のような実写映画では散々なことをやってくれるディズニーだが、本家アニメ作品だけはキチンと考えたキャスティングをしてくれている。
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辰之介

Author:辰之介
映画ファン歴40年。
映画やドラマを観る日本人の審美眼を真剣に憂える。

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