レヴェナント 蘇えりし者

 レオナルド・ディカプリオが念願のアカデミー賞を受賞したことで大々的に宣伝されている作品だ。
 とは言え、この作品の主演はレオ様でない方が良かった。瀕死の重傷を負いながら食うや食わずで雪の山中を何週間も彷徨う男を演じているはずなのに、どうにもこうにもレオ様の身体はパーティぶくれしているのだ。クリスチャン・ベイルだったら喜んで10kgでも20kgでも30kgでも減量して撮影に臨むだろうに、なんだかなぁなのだ。『アビエイター』の時も同じ感想を持ったものだが、ホントに変わらない御仁である。
 レオ様を襲うグリズリーはどうせフルCGなんだろうし、CGでほぼ何でもできちゃうんだから、レオ様の身体もCGで痩せさせちゃえばよかったのにと思うのだが、それをしなかったのはもしかして監督の意地悪だったのか? 監督はアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。メキシコ人である。対するディカプリオはイタリア系(母はドイツ人)である。ついつい変な深読みをしてしまった。というのも……、
 物語の舞台は西部開拓時代のアメリカで、探検隊のガイドとなった実在のハンターがモデルになっているのだが、冒頭はその探検隊がインディアンに襲われるシーンから始まるのである。あれ? 今時珍しくインディアンが未開人の悪者に描かれる作品なのかと思ってしまうのだが、さにあらず。探検隊と言ってもシカなどの皮を獲って荒稼ぎもしていて、白人がインディアンを虐殺しまくる描写も激しくちりばめられている。何しろ、監督の同朋メキシコ人はインディアンと同様に未開人の扱いをされ、虐殺された側の人だ。メキシコ人を虐殺したのは主にスペイン人だが、スペイン人をアメリカ大陸に連れてきたのはイタリア人のクリストファー・コロンブスである。ボクが深読みしてしまった理由はここにある。
 ちなみに、現在は、インディアンをネイティブ・アメリカンと呼ぶのは、逆に差別なのだそうだ。インディアンを根絶やしにした白人たちが、その呼び名を言い換えることで自分たちの犯した罪を覆い隠している、つまり歴史修正主義としてとらえられているらしい。コロンブスも最近はあまり英雄扱いではないとのこと。5百年くらいを経て、ようやく反省の兆しが見えてきたアメリカ人ではある。大東亜戦争で犯した罪に気付いてくれるには、まだまだ数百年も待たねばならないのだろう。

 とまぁ、これもいろいろと書いてしまったが、2時間半超えの長尺だが、それを感じさせない作品である。殺し殺され、追いつ追われつの連続で、しかも痛い。すごく痛い描写の連続で、とても疲れはするのだが、退屈はしない。レオ様ももうそろそろ殺されちゃったほうが楽じゃんかと思って観てしまうのだが、笑っちゃうくらいしぶとく生き延びるのが凄くて快感なのだ。
 撮影が良い。2013年『ゼロ・グラビティ』、2014年『バードマン あるいは(無知がもたらす奇跡)』、そして2015年の本作で、3年連続アカデミー撮影賞を受賞したエマニュエル・ルベツキである。一定の柔らかい明るさというか暗さの中で、視写界深度を浅くしたり、奥ピンまできっちり合わせたりを変幻自在に使い分けている。フィルムでしかできなかったことなのか、ビデオになったからできるようになったことなのか、技術的な詳しいことはさっぱりわからないが、とにかくすごい。風景だけの撮影もすごい。エンド・クレジットは根気よく見られなかったが、B班など使わずに、自分で撮影したんだろうか?

 最後にもう一つちなみに、ボクが観に行ったシネコンでは、公開初日こそ一日早い金曜日だったから大きなスクリーンで見られたが、翌日の土曜日からは、大きなスクリーンは『ズートピア』と『名探偵コナン』『遊戯王』に独占され、小さなスクリーンに押しやられていた。来週末の大スクリーンはテレビ局の放送外収入『テラフォーマーズ』とか『ちはやふる』が占拠するんだろうな。『キャプテン・アメリカ』はどこで観ればいいんだっ! 日本映画、死ね!
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辰之介

Author:辰之介
映画ファン歴40年。
映画やドラマを観る日本人の審美眼を真剣に憂える。

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