『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』

(☆☆☆  少なくとも、マーベル・ファンは必見)
 アメリカでシビル・ウォーと言えば南北戦争のことを指す。「War(戦争)」と呼んでいるが、要はアメリカを二分した内乱である。内乱はただ単純にその国の国力を落とす。帝国主義でヨーロッパに遅れをとったアメリカは、未だ覇権の定まらないアジアの利権を求め、1853年に日本にたどり着いた。ペリー来航である。ところが、1861年(~65年)に南北戦争が起こったせいでアジアへの影響力を失ってしまう。しかし、日本にとっては幸いだった。もし、アメリカが南北戦争を起こしていなかったら、日本人はインディアンのように虐殺し尽くされていたか、フィリピンのように植民地化されていたか、ハワイのように併合(実質は植民地化)されていた。カメハメハ大王でお馴染みのハワイ王国が、『アロハ・オエ』を作ったリリウオカラニ女王を最後に王国が亡んだように、日本の皇室も滅ぼされていただろう。

 さて、映画の内容について。
 マーベル・コミックのアベンジャーズメンバーそろい踏みで、実質『アベンジャーズ3』とも言うべきスケールと意味合いを持つ作品になっていた。マーベルファンにはたまらない興奮の作品となった。
 アベンジャーズの戦いが都市破壊レベルにまで大きくなり、少なからぬ被害者(被災者と呼ぶべきか)が生じるようになる。各国は協議の上、国連の指揮下にアベンジャーズを置くことで合意。国連が要請したときにのみアベンジャーズは悪と戦うのである。これに合意するか否かでアベンジャーズ内の内乱が起こるのだ。
 実は、『バットマンVSスーパーマン』も似たような設定の世界観でストーリーが構築されている。だが、超人のレベルでスーパーマンは桁が飛び越えすぎている。不謹慎を承知で敢えて譬えるが、熊本地震とノアの洪水くらいの差があるのだ。つまり、熊本地震には喩に使うと不謹慎さを感じるほどの実感が伴うが、狂信的なキリスト教徒ではないボクにはノアの大洪水には実感がわかない、ということを言いたい。なので、まじめに補償の話をしようとすると、リアルになるかギャグになってしまうかの違いが生じる。これが『バットマンVSスーパーマン』の敗因だ。
 さて、本編に戻って面白いのは、合意に賛成なのがアイアンマンで、反対なのがキャプテン・アメリカなところ。我侭放題のトニー・スターク(アイアンマン)こそ束縛を嫌がって合意に反対しそうなものだが、彼自身、トラウマを抱えるような戦いに疲れや恐れもあるし、ペッパー・ポッツとの幸せな私生活も取り戻したいという思いもある。対するキャプテン・アメリカは優等生のイメージで愛国心の代名詞のような存在だ。悪法もまた法なりと、国や軍の方針には己を曲げても従いそうな感じだが、こちらが反対をするのである。キャップの中には、男社会に抗ってシールドの創設者の一人となった元恋人ペギー・カーターへの想いもあるし、何より洗脳によって悪に利用され冤罪までなすりつけられた親友バッキーを救いたいという想いがある。
 観ているこちらは、バッキーの冤罪も含めて賛成しているトニーが判断を誤っているのが分かっているし、どうしても反対している劣勢のキャップを応援してしまう。これ以上はネタバレになってしまうので口を閉じるが、エンターテイメントとしても面白いし話も良くできている。
 あ、ちなみに、スタン・リーはフェデックス・ドライバーとしてクレジットもされていた。

 ボクは高校時代からの30年以上のマーベル・ファンだが、数あるキャラクターの中でもキャプテン・アメリカはかなり上位のお気に入りキャラだ。初めて見たときは、そのネーミングと星条旗丸出しのコスチュームに違和感を感じていた。しかし、その違和感も最近では、彼こそがアメリカ人が理想としているキャラクターを体現しているのだなと解釈することで納得できるようになった。
 そもそも、自分が感じていた違和感の元は、キャプテン・アメリカほど日本人的なキャラクターはいないなぁと感じていたことだ。武器と言えばピストルとかの飛び道具でも刃物でもなく、身を守るのが主目的の盾だ。超能力的なスーパー・パワーではなく、肉体を駆使した力で戦う所も良い。だから斬られたり撃たれたりすれば怪我をするし、不要な殺しはしない。自らの身を捨てて仲間を守るし、敵にも慈悲深い。もちろん、朝日新聞は否定するだろうが、あの戦いぶりこそ、支那や太平洋で戦った日本軍の基本姿勢だとボクは思う。本当はアメリカ軍も、キャプテン・アメリカのように日本軍のように戦いたかったんだろうなと思う。残念ながら、朝鮮半島でもベトナムでも中東でも、彼らはその思いを実現していないが……。
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辰之介

Author:辰之介
映画ファン歴40年。
映画やドラマを観る日本人の審美眼を真剣に憂える。

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