不屈の男 アンブロークン

★★ (見る価値なし)

 監督はブラッド・ピットの妻で女優のアンジェリーナ・ジョリーである。養子にした子どもたちの子育てに忙しいのか、乳がんになるのが怖いからとおっぱいを切り取る手術からの恢復に時間がかかったのか、最近は出演作の公開が減ったが、それでもアンジーと言えば日本でもそれなりの集客力を持った人気女優さんである。監督作も2作目でそれなりの集客は見込めただろうに、本作は日本での劇場公開が遅れた。あやうく劇場未公開になるところだった。その理由は、内容が反日的だったからと言われた。
 ボクは昨年末、タイ旅行に行く飛行機の中で見た。テキトーに飛ばしながらではあるが。が、見た結論から言えば、内容の反日性と言うよりも、アンジーの監督としての無能さを曝け出さないための保護処置だったと言うべきだろう。

 本作は、実在の元オリンピック選手で、第二次大戦に従軍し、日本軍の捕虜になって終戦を迎えたルイ・ザンペリーニを主人公に映画化したものらしい。
 原作は、そのザンペリーニが自身の戦争体験を書いた手記をもとに、ローラ・ヒレンブランドという女性が書いた小説である。その原作本をボクが読むことはないだろうが、聞く話によると、反日本というよりもトンデモ本の部類らしい。なんでもその本によると、日本には人食いの風習があるらしく、日本軍がアメリカ兵を生きたままで食べるシーンが描かれているとのことだ。
 当時の日本とアメリカは、戦争でお互いに殺し合わなければならない敵同士である。相手へのリスペクトなど邪魔にこそなれ、あるはずはない。もちろん、戦時中は日本人も欧米人を『鬼畜米英』と呼んで人扱いしていなかった。それは欧米人もお互いさまで、日本人のような黄色人種は白人の奴隷をやっているのがお似合いの劣等人種と見做していた。戦争が始まるに至っては、人でもない『虫けら』として扱っていたからこそ、虫けらが湧いている二つの都市を標的に原爆実験もやってのけれたのである。
 しかし、戦争も終わり70年も経つのである。その間に、日本人に人食いの風習がないことや、なかったことは、もうちょっと世界的に認知されていても良いのではないか。少なくともアメリカ人くらいは、こんな低レベルの誤解を抱いていないと思っていた。原作が戦時中や終戦直後に書かれたのならいざ知らず、ローラ・ヒレンブランドという原作者の女性は1967年生まれでまだ50歳にもなっていない。映画『シービスケット』の原作も書いた人だ。それなりの知性や教養はあると思うのだが、それほどの人をしても尚、いまだに日本に対する認識はこの程度なのかと思うと、なんだか絶望的な気持ちになる。
 ちなみに、ロッテン・トマトの評価は51%。ただし、これは批評家によるもので、観客評は70%に達している。一般的アメリカ人の歴史認識は、やはりこの程度ということであろう。まぁ、戦勝国に敗戦国が何を言っても負け犬の遠吠えではあるが……。
 ただ、日本に対する認識度はその程度だとしても、この原作は、日本を除いたところにもおかしな描写が満載らしい。ザンペリーニは搭乗していた爆撃機を撃墜され、救命ボートで海を漂流するのだが、あり得ないようなサメとの格闘が描かれていたりするとのこと。そんなサバイバル描写からして、原作はトンデモ本扱いなのだと言う。
 ところで、この救命ボートの話を聞いて、すぐにピンと来た御人も多いかと思う。そう。日本人ではなくてザンペリーニ自身が、死んだ仲間を食べて生き延びたのであろうということだ。そのことを隠そうとしているうちに、日本人が仲間を食ったというように記憶が書き換えられたのだ。ま、さしずめ、そんなところだ。悪いことや負の部分は、全部まとめて敗戦国の日本に押し付けておけばいい。負けたんだから、奴らは文句も言わないし。
 そんないささか怪しげな手記、およびその手記をもとにした原作を映像化した本作ではあるが、人肉食いのシーンはなかった。少なくとも飛行機の上映版にはなかった。劇場公開版にも、輸入盤ブルーレイの特典映像(カットされた映像)にも、人肉食いのシーンはないらしい。
 そのシーンを描かなかった真意は不明だが、結果としてアンジーはまだマトモであったと言えるのかもしれない。いや、親日的とさえ言える。作り話丸出しな詐欺師の話でも、日本を貶める道具に使えると思うと、嬉ししょんべんを垂れ流して自らもねつ造記事作りに熱を上げ、作り話をてんこ盛りに盛りあげた、あの、あの従軍慰安婦報道で有名な、あの朝日新聞よりは、いくぶんかアンジーのほうが親日的だ。

 史実やリアリティよりも、とにかく何でもいいから日本人が悪いことをしているシーンが好きで好きでたまらないと言う支那人や朝鮮人、それに反日日本人の人にはお薦め。
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辰之介

Author:辰之介
映画ファン歴40年。
映画やドラマを観る日本人の審美眼を真剣に憂える。

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