『マネーモンスター』

 高い経済発展が見込まれる新興国を『BRICS』とか総称し、それが、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのことだとか、もはやBRICSも時代遅れだとか……。社会人の一般教養としてそれくらいは知っておきなさいと、そんな経済知識を押し付けられる。
 ところがである。自分の不勉強もあって最近知ったことなのだが、BRICSなる用語はゴールドマン・サックスが作った造語なのだとか。要は、株屋の総元締めが新興国の株を買えと言っているだけなのだ。ファッション界の総元締めが「今年の流行は赤」と勝手に決めて赤い服を買わせている構造と同じだ。
 実際、ブラジルやロシアなどの資源輸出に頼ってきた国は原油安のせいで今や混乱の真っ最中だ。インドくらいはまだ成長が見込めるのかもしれないが、南アフリカのことも含め、ボクが不勉強なだけで、既に何か危ないのかもしれない。中国に関しては今更言うこともない。

 サブプライム・ローンを売りまくって世界を混乱に陥れておきながら、何の反省もなければ何ら法的な制裁を加えられることもなく、詐欺行為を延々と繰り返す。それが株屋だ。そんな株屋のショー番組が『マネーモンスター』。番組お薦めの株を買って大損をこいた男が、番組司会者を人質にとって番組をジャックする。しかも、大損の元になった会社は裏で株価を操作しているような疑惑があり……、というストーリー。
 この手の作品はネタバレに注意して話さなければならないのだが、映画紹介や宣伝でコメントされているストーリーそのままで、それ以上でもなければそれ以下でもない……ってことを言ってしまうのがネタバレか? 実は犯人と人質がグルだったみたいなドンデン返しがあったとしても、取ってつけた感しか残らないだろうから、まぁ妥当な現実路線で無難にまとめたとも言えるが……、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツの2大スターの共演も至極まっとうな役どころで、意外性はなかったし……。
 そういえば、この作品にも『ハッカー』という存在が出てくる。株価操作のことは勿論、パソコン操作も不案内なボクにとり、ハッカーなどというコンピューター使いはまるでヨーダだ。架空の存在に近い。しかし、そんなハッカー観はボクだけに限ったことではないと思う。だからなのか、それを良いことになのか、映画に登場するハッカーたちは、ほぼ何でもできる存在として描かれることが多い。使い勝手の良い、はっきり言ってご都合主義の極まったコマだ。本作に出てくるハッカーもそんな描かれ方をしている。テレビ局スタッフが知り合いのハッカーを使って事の真相を調べていくのだが……、あれはテレビ局員を有能に描きたかったのか、それともFBIやNY市警を無能に描きたかったのか?
 まぁ、所々に不満の残る作品ではあったが、上映時間100分を切るコンパクトさは評価したい。実際は99分だけど、クレジットを無視すれば95分くらいで劇場を後にできる。あ、あと、監督も大スターなんだから、カメオ出演くらいすればよかったのに……。
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辰之介

Author:辰之介
映画ファン歴40年。
映画やドラマを観る日本人の審美眼を真剣に憂える。

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